原田 亮(はらだ りょう)さん 好きなこと:音楽
広告やインタラクティブ作品にまつわる音楽の企画・制作から、空間の音響演出、アーティストのプロデュースまでを手がける「LADER PRODUCTION」代表の原田 亮(はらだ りょう)さん。メディアやトレンドが変化する中でも変わらない、音楽への想いを伺いました。
新卒で入った有線放送の会社でコンテンツ企画に携わったあと、大手CDショップでのメディア編集や音楽配信の仕事を経て、30歳の時に独立しました。サラリーマン時代からダンスミュージックのレコードをリリースしたり広告への楽曲提供はしていましたが、音大や音楽プロダクション出身ではないという意味では、完全にアウトサイダー。でも、興味の軸はずっと「音楽」にありました。
広告音楽は、一音でそのブランドの世界を表現しなければいけないもの。だから、今の会社を立ち上げたときのキーワードは「一音で課題を解決したり、一音で表現をジャンプアップすること」でした。自分の原体験としても、いい曲ってイントロの一音目でその世界観が伝わるんです。だから、適した企画やパッケージの中でそれをつくることを目標に、日々の制作やディレクションをしています。
90年代のDJカルチャーで育ったせいか、アナログレコードというメディアにはとても愛着があります。「円盤」って呼ばれる通り、UFOみたいにどこへでも飛んでいけるようなロマンがある。中古屋で何十年も前のレコードに出会ったり、逆に日本の60年代のものがオーストラリアやチェコ、アメリカの西海岸にポンと流れ着いたり。音楽のつくり手からすると、これほどダイナミックなメディアはないです。
自社でも所謂ニューミュージック/シティポップのレーベル「RESCA RECORDS」と、2018年に立ち上げた「JABARA RECORDS」を主宰しています。耐用年数の長い媒体ですから、自分たちがつくるものも時間をかけていろんな人の手に渡っていってほしいですね。サブスクリプションの時代だからこそ、レコードの存在感が見直されているようにも感じます。
2018年に、所属アーティストであるAKIKO KIYAMAのレコード&アートブック作品をリリースしました。その際、「Bandcamp」(※)で販売するためにペイパルのアカウントを取得したんです。もともと海外にファンが多いアーティストなので、さまざまな国から注文がくるんですが、決済に手間がかからないことに驚きました。
ユーロもドルも、為替と関係なくアカウントの中に売上としてプールされますし、そのデポジットを使ってサウンドライブラリやデジタル書籍などを買うこともできる。ペイパルというひとつの財布の中で、プロジェクトの入出金をキャッシュレスに管理できるのがとてもいいですね。管理画面にログが残るので、税理士とやりとりする際もスムースです。
※アメリカ発の音楽配信プラットフォーム。デジタル音源だけでなく、アナログレコードやCD、グッズなども販売・購入することが可能。
僕が社会人になった頃はブロードバンド前夜で、「常時接続」という言葉に特別な響きがありました。でも今は、いかに時間を管理するか、繋がりすぎないかに世の中がシフトしている。そうした中で求められる音楽体験も、また変わってきていると思います。
広告という仕事柄どうしてもトレンドやギミックに論拠を求めがちですが、音を通じて課題解決や表現のジャンプアップをすると同時に、一瞬の音が長く記憶に残り続けるような普遍的なかたちも目指したい。メディアやライフスタイルの変化を見つめながら、心に響き続けるサウンド、それを支える仕組みづくりに取り組んでいければと思っています。
世界1800万以上のオンラインストアで、売り手にカード番号や銀行口座情報などを伝えずに安全に決済ができます。 海外通販ガイドについて見る